凍結した預金口座の相続手続き

まず、預金の名義人が亡くなると、原則として口座は凍結される、と言われています。原則は凍結されるのですが、それは、口座の名義人が亡くなったことを、金融機関が知った場合です。ですので、名義人が亡くなっても、金融機関がその事実を知らなければ、口座は凍結されません。例えば役所に死亡届を出したら口座が凍結されてしまうと誤解をしているかたもいますが、そんなことはありません。

そのため、被相続人が亡くなり、葬儀費用などが必要な場合、口座のキャッシュカードの暗証番号を知っていれば、現金をおろすことは可能です。もちろん、他に相続人がいれば、後日のトラブルを避けるために葬儀費用としていくらを口座からおろした旨を伝えておくのが良いでしょう。その場合、相続税は死亡時点の残高で計算をすることになります。いづれにしても、相続手続きのためにそのうち口座は閉じることになりますので、公共料金の支払いなどがあれば、引き落とし口座は変更しておきましょう。

被相続人の口座の相続手続きが開始されると、口座は凍結されます。遺言が無ければ、相続手続きに必要な書類は下記の通りです。
・遺産分割協議書(実印を押印)
・相続人全員の印鑑証明書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
・金融機関ごとの必要書類

私も母が亡くなった際に、遺言もありませんでしたので、母の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本、改製原戸籍を、さいたま市、川越市、栃木県野木町に請求し、全部で5通になりました。遺産分割協議書の書式などはネットで調べて作成し、銀行に提出し口座の解約を行いました。私の場合は父と姉と私の3人のみの単純なものでしたし、争いもないのでスムーズにはいきましたが、当時は会社員でしたので、とても面倒だと感じました。金融機関の側からすれば、法定相続人の確定は謄本一式を見なければできないので、面倒でもやむを得ない作業なのだと思います。

正直なところ、専門家に頼まなくても時間はかかりますができる作業です。それでも、例えば会社員のかたが仕事の合い間に処理する場合や、親族が遠方にいる場合は、専門家に任せた方が良いと思います。
口座の数は減らしておいたり、預貯金のある金融機関の目録を作成しておくなども、効果的です。

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