現行の成年後見制度は、平成11年の民法改正によりそれまでの禁治産・準禁治産の制度が廃止され、平成12年から施行されました。以前の禁治産および準禁治産の制度では、主な目的は対象者本人の財産管理にあり、禁治産および準禁治産の宣告を受けるとその事実が官報で公告されていました。本人の戸籍にその宣告の事実が記載されることなどにより、本人のみならず、その利害関係人からも忌避され、利用しにくい制度であるとの指摘があり、あまり利用されませんでした。そのような背景があり、高齢社会への対応の要請、障害者福祉の充実の要請から整備された制度です。
成年後見制度は、精神上の障害により判断能力に欠ける、あるいは不十分な人(認知症高齢者・知的障害者・精神障害者のほか、自閉症の人々、事故による脳の損傷、脳の疾患に起因する精神上の障害を持つ人々等)を保護・支援するため援助者を選任して、契約の締結等を代わって行ったり、本人が誤った判断に基づいてした行為を取り消したりして、本人を法律的に支援する制度です。
成年後見制度の基本理念 は下記の3つです。
1.自己決定の尊重
後見人等はその事務を行うに当り、本人の意思を尊重しなければならない。また、本人の利益の保護と同時に自己決定権の尊重を優先しなければならない。
2.残存能力の活用
障害のある人が自分らしい生活をおくるためには、本人の失われた能力に注目するのではなく、現在残されている能力を最大限に活用して生活できるようにすることが必要である。
3.ノーマライゼーション
ノーマライゼーションとは、障害のある人も家庭や地域で一般の人と同じような普通の生活・権利などが保障されるような環境整備を行うことを意味し、この理念に基づき環境整備を行わなければならない。バリアフリーやユニバーサルデザインは、この理念実現のための手段。
成年後見制度には、法定後見と任意後見があります。法定後見は更に、後見・補佐・補助の制度に分類されます。
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[…] 4.(×) 成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な者を対象に設けられた制度です。平成11年の民法改正によりそれまでの禁治産・準禁治産の制度が廃止され、平成12年から施行されました。→成年後見制度の始まり […]