認知症の発症により判断能力が不十分になった後に、財産凍結対策として取り得る手段は、現状、法定後見制度しかありません。
法定後見制度とは、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人を法律的に支援する制度です。本人の不動産や預貯金を管理したり、身上監護を行います。
本人、配偶者、四親等内の親族等が、家庭裁判所に後見等開始の申立てを行います。家庭裁判所での審理を経て、後見登記がなされ、成年後見人の職務が開始されます。成年後見人の選任は家庭裁判所が行います。申立人が家族を推薦しても、士業者などの専門家が選ばれる可能性もあります。後見監督人は必要に応じて家庭裁判所の判断で選任されます。
法定後見は、本人が死亡するかまたは本人が判断能力を回復するまで続けられます。もともと財産凍結対策として始めてその問題が解決したとしても、それを理由に途中で辞めることはできません。
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[…] 親が認知症になってしまった場合、事前に対策をしていなければ親御さんの財産をその後動かすことはできません。「認知症になった後 法定後見制度」にてもお伝えした通り、事後対策としては原則法定後見制度のみとなります。しかしながら65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になる現代社会においては、親の財産が凍結されては困る人が当然いるわけで、その社会問題に対する全国銀行協会の考え方が、「金融取引の代理等に関する考え方」です。最初のページの問題認識が、とても分かりやすいです。 […]