不動産の生前贈与

年老いたお母さんが実家で一人暮らしをしている、というケースはよくあることだと思います。表現はあまり良くないかもしれませんが、そのお母さんが最後まで元気で家に住み、そのまま亡くなった場合はあまり問題になりません。遺言がなくても法定相続人間で分割処分をすれば良いからです。問題になるのは一人暮らしのお母さんが認知症になって施設に入ってしまう場合、あるいはお母さん名義の家に長男夫婦が住んでいてお母さんが認知症になってしまう場合、だと思います。その場合お母さん名義の家は凍結財産になってしまい、その家に関しての法律行為ができなくなってしまうからです。

任意後見や家族信託の制度を利用することもできますが、お母さんが認知症になる前に不動産を生前贈与しておく方法はどうでしょうか。生前贈与とは、被相続人が死亡する前に自分の財産を人に分け与える行為です。

 

暦年課税を選択して生前贈与する場合
暦年課税の制度とは1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算するものです。
年間110万円以内であれば贈与税はかかりません。これは110万円が暦年課税の基礎控除額であるためです。しかし不動産の価格が110万円ということは現実的ではないので、110万円を差し引いた額に対して贈与税がかかります。その場合は贈与のあった翌年の21日から315日までの間に申告をします。その他不動産取得税、登記の際の登録免許税がかかります。

 

相続時精算課税を選択して生前贈与する場合
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母などから、18歳以上の子などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。相続時精算課税であれば2500万円を控除した残額に対して贈与税がかかります。その場合は贈与のあった翌年の21日から315日までの間に申告をします。その他不動産取得税、登記の際の登録免許税がかかります。贈与者が亡くなったときにその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に相続税額を計算し、既に納付した贈与税額を控除します。

個別具体的な税額については、税理士への相談が必要です。

参考:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_4.htm

マロン法務事務所

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