現在はたくさんの外国人が日本に住んでいますので、遺言を残しておこうと考える外国人のかた、日本語は苦手なので母国語で遺言を書こう、と考えるかたもいらっしゃいます。外国語で残された遺言書は有効なのでしょうか。
自筆証書遺言
自筆証書遺言の場合、言語は日本語でなければならないといった決まりはありません。母国語で書かれた遺言書であっても有効です。自筆証書遺言作成の際には押印が必要ですが、ハンコを持っていない外国人の場合は、「外国人の署名捺印及無資力証明ニ関スル法律」により「外国人は署名することをもって足りる」とされています。
検認作業はどうでしょうか。検認の申し立てには、下記の書類が必要です。
1.遺言者の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本
2.相続人全員分の戸籍謄本
日本の場合は戸籍制度があるので時間をかけても相続人の確定は可能ですが、外国人の相続人を確定させるのはなかなか難しそうですね。私が以前住んでいた中国には戸籍(戸口)という制度がありましたが。つまり、有効は有効だけど実際に遺言執行できるかは疑問であり、あまりお勧めはできません。といった感じです。「灼熱の魂」みたいな衝撃的なことになっている可能性もあるかもです。
公正証書遺言
公正証書遺言は必ず日本語で作成されますので、外国語で作成することはできません。外国人の方で、日本語が苦手なかたは、公正証書遺言の方式で遺言を作成するのがよいかと思います。日本人であれば公正証書遺言作成時に相続人を確定させておきたいところですが、それは必須ではありません。また家庭裁判所の検認手続きが不要なので、執行は比較的スムーズになります。
灼熱の魂:「母の遺言から始まった、父と兄を探す旅」
マロン法務事務所