被相続人は自分の死亡後、遺言によって5年を超えない期間は、遺産分割の禁止を指示することができます。遺言書には遺産分割を禁止する財産の範囲、禁止期間を記載します。
遺産の分割を禁止する遺言をする理由としては、相続人の中に未成年者が含まれる場合、思い入れのある土地をできるだけ長く分割してほしくない場合、相続の調査や手続きに時間がかかりそうな場合など、があると思います。
父が被相続人で、法定相続人が母と未成年の娘2人の場合(19歳と17歳)、仮にそのまま遺産分割をすると未成年者のために特別代理人を選任しなければなりません。娘2人は財産のそれぞれ1/4を相続するように協議することになるでしょう。5年の分割を禁止する遺言があれば、娘が成人後代理人の選任をすることなく遺産分割することができることになります。
遺産分割禁止期間中、遺産は凍結されます。法定相続分で分割すると仮定し、それぞれが相続税を納めることになります。相続税の支払いが発生する場合は、ある程度の財産をそれぞれに相続させる旨を記載しておくと良いでしょう。