被相続人の生前に相続人が相続放棄の意思を示す場合がありますが、被相続人の生前に相続放棄はできません。従って、相続を放棄する旨を書面で約束しても、相続放棄として効力が生じることはありません。
例えば、4人家族(父母兄妹)の父が亡くなり相続終了後、今後の母の面倒は娘が見るから、兄に母の相続を放棄してほしいと願っても、それはできません。ではどうすればよいか。先ず母に、兄には一切の財産を相続させない旨の、遺言を書いて貰います。次に兄に遺留分を放棄して貰います。これにより、母の生前における相続放棄をしたのと同じ効力を生じます。相続放棄は生前にできないのに対して、遺留分は家庭裁判所の許可を得て生前に放棄ができるためです。